4月6日曇り時々晴れ、今月から月に一度、ダイビング日記の掲載です。

風やや強し、2年ぶりの海はベタ凪の那覇新港。

 改造が終わったトロピコ号は、静かにダイバーの到着を待っていた。そして僕は本当に久しぶりのダイビングに緊張していた。8時30分、斎藤君が忙しく船と岸壁を渡る姿が眼に映る、今日は25人が乗船、3ダイブの予定なのでタンクは75本以上、スタッフは大忙し。

 スタッフの皆川さんの運転するバンが到着し、出港の時間だ。船は静かな海を滑り出した。永いこと海に出ていなかったので忘れていたが、湾内は少々の風では荒れたりしないのだ。でも実はこの日、かなり南風が強かった。「大田丼(船長)の隣に座って行くか。」と2回にあがって景色を楽しむのもつかの間、船が防波堤に近づくと、よけるまもなく右舷から塩水のシャワーを浴びた。「湾内を出たら絶対ヤバイな!」と思いすぐに下に避難。しかし時すでに遅し、ラダーを降りる間にびしょ濡れだ。早速みんなに笑われてしまった。でも走行中にラダーを上り下りするのはは危険です。止めましょう。

 さて、今回乗船したトロピコ号改はこれまでとはちょっと違う。今の時期は南風が強くケラマに向かうときは、左側が激しく飛沫を浴びる。これも夏の訪れと思うと悪い気分ではないのだが・・・この対策が今回の改造の目玉だ。TOPページからの写真で分かるように、これまで散々潮を浴びたデッキが両側の壁で守られた。このおかげでキャビン後ろのスペースはまったく潮の影響を受けないのだ。おまけにエンジンルームの出っ張りにはクッションが張られて座りごこちのいいこと!!キャビンは風が入らないので、この時期でもちょっと暑いのだが、このスペースはいい具合に風が舞って気分がいい。

 4月初旬、天気さえよければ沖縄は夏を迎える。事実、海開きもこの時期だ。しかし、夏の訪れを告げる南風は大きな波も連れてくる。2メートルから3メートルの波が右舷に迫る。船長大田丼はこの波をうまくかわしながら一路ケラマを目指す。荒れた海を走らせるのは船長の技量の見せ所だ。大田丼は、大波小波を見事に乗り越えTROPICO改を走らせていった。

 しかし、TROPICO号は相変わらず速い。僕が沖縄で始めてダイビングした10数年前、2時間近く掛けてケラマまで行ったのを思えば、驚くほどのスピードだ。当時はほとんどが漁船タイプの船で舳先の部分にタンクを並べ、そのそばで昼寝をしながらケラマから帰ってきたものだ。海の荒れ方は今も昔も変わらないが、船のスピードが違う。いい時代になったものだ。と爺くさいことを考えているうちに船はポイントに到着。ポイントはおなじみ、「パライソ!」

 僕のスーツは一昨年ついに限界にきて、着られる状態ではなくなったので捨ててしまった。今はスーツを持っていない。今回はトロピコのレンタルスーツをお借りした。手足にジッパーのついたタイプなのでとっても着やすい。それまで使っていたスーツは3ミリのワンピース、当時11月まではウェット、12月からはドライスーツ、ウェットは5月からが通常だった。

 もっともこれは永く沖縄にいたからで、水温はすでに23℃を超えているので本土から来るダイバーにとっては十分な暖かさだ。5ミリのワンピースなら寒くはないだろう。しかし、沖縄生活も10年を迎えると冬は実に寒い。水温も27℃くらいがいい。ちなみに気温18℃以下は寒い!!

 で、今日の水温は24℃。十分楽しめる水温です。話は少しそれるけど水温が高くてもドライスーツを着ていたのは、海から上がった後が楽だからだ。当時の漁船タイプのボートでは、風が吹くと隠れるところがないので、濡れた体が冷え切ってしまうのだ。その点、ドライなら濡れるのは髪の毛だけなので、すぐにキャビンにもぐりこんで寝ていたりできたわけだ。ちなみにドライスーツの下はジーパンにポロシャツなんて服装だったから、海に入る前後は普通の人。というわけで、温水シャワーに風除けもあるボートなら、ウェットでも問題なしだ。


サラサゴンベ ハマクマノミ
サラサゴンベ ハマクマノミ


 さてさて、いよいよダイビングだ。僕は皆川さんのチーム、7名で僕のバディーも皆川さん。僕は新品のようなレンタルスーツにボロボロの自前器材、佐藤さんが「年季のはいったBCだなー、そのスーツとめちゃめちゃミスマッチですね。」たちまちスタッフの注目を浴びてしまった。(^_^;) 

 エントリーは後ろからのジャイアントストライド、そしてダブンと海へ飛び込んだ。次の瞬間、柔らかく光る小さな泡が視界を覆う。極上のシャンペンの中に飛び込んだような錯覚、きめの細かい泡が、目の前を意外なほどゆっくりと水面へ向かう光景は、なんとも気持ちのいいリズム、やっぱり海はいいなあ。塩水は少々眼にしみるが、それもすぐに慣れる。やがて紺碧の海が海底を見せて・・・あれ?見えない。しまったマスクがない!なんてことを昔は何度かやっているので慎重に慎重にと、

 ここはいい!!パライソは始めてのポイント。まず白い砂!サンゴもまだまだすばらしいな。見られる魚は種類も数もいかにも沖縄の海だ。どちらかといえばおとなしい海なので初心者も体験にも最高だ。熱帯魚系の魚を狙うなら水中写真派にもよさそう。チョウチョウウオ、クマノミ、ゴンベ、ヒメジ、キンチャクダイ、トラギス、ギンポ、スズメダイ、ベラ、フグ、ハリセンボン、などなど。ただ固体は小さ目。探せば幼魚がたくさん見つかるはずだ。魚マニアには特にお勧めかも。

 今回よく目の前に現れたのはハリセンボン。こいつはなかなかひょうきんな顔をしていて楽しい、動きもとろいのですぐそばでじっくり観察ができる。そして僕のお気に入りは、サラサゴンベだ。クダゴンベほどの人気はないが、白地に茶色の縞というか斑点というか、いいバランスでなんとも愛らしい。ゆっくりと飛び跳ねるように泳ぐ姿も見ていて飽きない。比較的肝が据わっているのか、それともアホなのかカメラをかなり寄せてもOKだ。

 サンゴや岩の割れ目も多く「なんかいそうだな」と顔を突っ込みたくなる。と思っていたら、ガイドの皆川さんがなにやら呼んでいる。サンゴの下になにかを見つけたようだ。指差す先を覗いて見るが暗くてさっぱりわからない。頭を捻っていると、手のひらに字を書いている。「・・・・ツオ?ツボ?」、むむむむむ?壷?カツオか?カツオはいないだろこんなところに。「あっそうか、ウツボだ。」別の角度から覗くと、いたいた、でかい。大田丼の太ももくらいありそうなウツボだ。

 みんなについてしばらく移動すると、直径6メートル、高さも6メートルはある巨大なソフトコーラルの山が現れた。でかい。でかい魚も感動するが、でかいサンゴも悪くない。なんといっても逃げないのがいい。ソフトコーラルの住人といえば一番はイバラカンザシだ。まるでクリスマスツリーみたいなやつでしかも固体ごとに色がさまざま、ほんとに綺麗で可憐なやつだ。この山のようなサンゴにも一杯住んでいた。こいつには耳がちゃんとあるんだろうな、指を鳴らすとひゅっと引っ込んでしまう。

 砂地のポイントは太陽光が命だ。海底に日差しが届く程度の深さなので、天気さえよければここは水中パラダイスだろうな。次はカメラを持ってこよう。最近はハウジング付デジタルカメラが手ごろな値段で手に入るので便利だ。ゲストの中にもカメラダイバーは少なくない。これから水中写真を始めるなら迷わずデジタルを選ぼう。

 約30分の水中ツアーを終えボートの下へ戻る。最後の10分はボートの下で自由に魚を見て回ったり、のんびり中層に浮かんでいるのも実に楽しい。

 海から上がると、あったかいお茶が待っていた。冷えた体が飛び上がって喜ぶ。次のダイビングに備えてタンクの交換がすむと、船は次のポイントへ向かった。


イソバナ イバラカンザシ
イソバナ イバラカンザシ


 船は座間味島の北、ウチャカシへと走った。2本目はドリフトダイビング、潮の流れに乗って流されながら水中を楽しむダイビングだ。アンカーは入れずに、つまり船を固定しないで海へ飛び込み、そのまま潜行、流れに乗って水中を楽しみ、離れたところで船に迎えに来てもらうのだ。流れが強いと大物が期待できる。イソマグロやロウニンアジなど1メートルを超える大物が、沖縄の強い日差しを水中で受けて、ギラギラッと光る姿はこの上もなく美しく、なぜか緊張しドキドキしてしまう。感動の一瞬だ。こんなときは大概エアーの消費も激しくなるので注意しよう。

「流れ、ないでーす。」流れを確認するために、早々と海に飛び込んだスタッフの斎藤君が、水面から叫ぶ。「がっくり」潮止まりといって、潮の流れは止まってしまうこともあるのだ。2本目は流れなしのドリフトダイビングとなった。慣れてくると激流のドリフトダイビングは楽しいんだなあ、これが・・・潮の流れというのはなかなか水面からでは分かりにくくて、水面が西から東に流れていても、水中はその逆だったりする。下手なガイドと船長の元でドリフトをやると、とんでもないことになるから気をつけよう。今回のように、誰かが海に入って確かめてくれると安心。

「全員で、いちにのさんで入りますから。」グループごとにいっせいに海に飛び込む。僕と二人グループは舷側からバックロールでエントリー。後は船尾からジャイアントで飛び込む。やっぱりエントリーはバックロールだなあ、後ろ向きに海へ落ちていく感覚は、なんともいえない快感だ。

 ウチャカシは変な名前だが、ポイントは楽しい。魚も多く大形だ。同じチョウチョウウオでもこういったポイントの魚は比較的大きく成長した個体が多い。1本目のパライソのような穏やかなポイントから、成長して移動してくるのだろう。ここでの目玉はカスミチョウチョウウオだった。カスミチョウチョウウオはどちらかというと、流れのあるポイントでよく見られる、ちょっと変わったチョウチョウウオだ。しかもチョウチョウウオには珍しく、数百匹の群れをつくるので、結構見ごたえがある。実に美しい。

 また、ハタタテダイも多い。ハタタテダイはオニハタタテダイ、ムレハタタテダイと良く似た種があり、水中ではどうも区別がつきにくいのだが、大きくて背鰭の角のようなところが短いのがオニハタタテ,群れているのがムレハタタテ、そうでないのがハタタテダイと思えばまず間違えはないだろう。背鰭の長さではツノダシもちょっと似ているが、これはツノダシ科で、口がかなり尖っているので区別ができる。

 ドリフトダイビングの楽しみは確かに大物だが、僕が好きなのは深さを楽しめることだ。と言っても30メートルも潜るわけではない。ドリフトダイビングの場合、深いところと浅いところの淵に沿って泳いでいくことが多いため、深いところでは30メートル以上の海底を眺めることができるのだ。たとえば、右側は色とりどりのサンゴに小さな熱帯魚たちが舞い踊り、その先には高くそびえる岩山が太陽の光を浴びてきらきらと光り、すぐ下は30メートルを越す深さ、蒼一面の世界。そして左手は、いつ現れるかとドキドキしながら目を凝らす紺碧の海中。

 「あっ!!あれは!!」一番にその光る姿を見つけたときの感動はなににも代え難い。残念ながら今回のダイビングでは大物はでなかったが、それでもドリフトダイビングはやめられない。


カスミチョウチョウウオ オニハタタテダイ
カスミチョウチョウウオ オニハタタテダイ


 ドリフトの終わりは「沖だし」だ。船は浅いところには来ることが出来ないので、ダイバーは全員でかたまって沖へでる。このときがなんとも楽しいというか、海の深さ大きさを感じられるのだ。足下は30メートルから50メートルの深さ、やがて水底も見えなくなると、多少不安になったりもする。全員で体をつかみ輪になってゆっくりと水面へでる。そのころには太田丼の操るTROPICO号がダイバーの排気を追いかけて、すぐそばまで来ていた。2本目のダイビングもあっという間に終わってしまった。

 時計を見るとすでに1時を回っていた。「腹減ったあ!」飯の時間だ。船は次ぎのポイント「ニタ洞窟」で停泊、昼食時間となった。ダイビングツアーの昼食時間は楽しい、今日のように日差しが強いとこの時期でもほんとにいい感じだ。穏やかな湾内のわずかな揺れも実に心地よい。昼食が終わり一休みすると3本目だ。ニタ洞窟は地形が面白いいいポイントだ。だが僕は2本でおしまい、みんなが海に入ると、すぐに昼寝の態勢に入った。人気のないわずかにゆれるボート、黄金のうたた寝だ。

 帰りのボートも速い。まだまだ波は高いが潮を浴びることもなく快適なクルージング。那覇に戻ったのはまだ日も高い午後4時半。2年ぶりのダイビングはあっという間に終わってしまった。それまであまり気がつかなかったのだが、いいダイビングをした日は、なんだかやさしい気分になっている。海よありがとう。


写真は今回のダイビングで撮影したものではありません。次回からはその時のダイビングでの写真を掲載の予定です。

文・写真 流離のナイチャーダイバーF


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