6月28日梅雨明けの曇り空

 例年より若干早く梅雨があけた。今年の梅雨は前半は空梅雨で、後半は土砂降りだった。沖縄では毎年水不足が問題になる。6月中旬の発表では7月から夜間断水が予定されているだ。そのため、沖縄の住宅やビルなどの屋上には必ず水タンクがあるだ。

 私も沖縄に来るまでは、断水の経験をしたことがなかったが、水が出ないと言うのは本当に不便なものだ。ついでに台風で20時間もの停電も経験した。断水にしろ停電にしろありがたいことではないのだが、水や電気の大切さが実感できるのは事実だ。沖縄に来て11年になるがまだまだ新鮮な体験ができる。

 さて、今月もなんだか忙しくて、ダイビング日記は2回で掲載中止かなあと思っていたが、ギリギリセーフでダブンと海へ飛び込んだ。ところでこのエッセイ、はたして読んでくれる人はいるのだろうか?沖縄のダイビング経験がない人には、その良さが少しでも伝わればと、経験がある人にはポイントや季節ごとの情報が、少しでも役に立てばと思っているが・・・

 今日のメニューは、ケラマに行ったらぜひ潜りたい3ポイントだ。まずはのんびり楽しめる穏やかな「アリガー」2本目はイソマグロに会える黒島北、最後はマンタに遭遇!の黒島南、ケラマダイブ豪華3本立てコース!どこもよく潜った海だが、何度潜っても楽しいポイントだ。


キンメモドキ スカシテンジクダイ
キンメモドキ スカシテンジクダイ


 アリガーはケラマでは定番中の定番。だが問題は時期だ。アリガーが最も楽しめるのは6月末から7月中旬なのだ。この季節、アリガーの根はキンメモドキとスカシテンジクダイで、覆い尽くされる。どちらも5cm程度の小さな魚だが、その数はおそらく万単位だろう。透明でキラキラと光るほうがスカシテンジクダイ。少し茶色がかっているのがキンメモドキだ。根は2つあって1つは直径5メートルほど高さ1メートル、周りは一面白い砂地だ。7月初旬この根はまさに稚魚で覆われる。今回はまだちょっと時期が早いか?

 浅瀬にアンカーを入れ、ゆっくりと潜行、このあたりは珊瑚と魚が舞うよくある沖縄の水中だ。そこから深場へ進むと次第に海底は砂地となる。水深は20メートルほど、根があるところはさらに深くなるので、あまり長時間は潜ることはできない。白い砂を眺めながらを進んでいくと、やがて景色の変化に気が付く。水底で何かが動いている。ガーデンイールだ。小指ほどの太さで、10cm〜20cm程度、水中に顔を出している。まあ、大きめのミミズみたいなもんだが、ダイバーには結構人気がある。白っぽい色に黒のまだら模様が美しい。目と口も以外とはっきりしていてそれなりに可愛い顔をしている。ところがこいつもけっこう臆病で、あわてて近づくとすぐに砂の中に隠れてしまうので、なかなかそばで見るのは難しい。上から行くとすぐにばれてしまうし、海底に張り付きすぎると砂煙が立つので注意しよう。「ひっこまないでー」と思いながら、そおーとそおーと近づいていく。なんと手が届きそうだ。カメラがないときはほんとに近くまで寄れるんだな、これが。僕のカメラはストロボがでかいせいもあってなかなかアップの写真が撮れない。

 ふと気が付くと周り一面ガーデンイールだ。水底にうつぶせに張り付いている僕の周りに10cmの細い首がニョキニョキ、なんだかジロジロ見られているみたいで陸上で考えるとなんだか不気味だが、水中ではなんだか楽しい気分なんだな。

 しばらくするとこれも飽きてくる。この辺まで来るとアリガーの根がぼんやりと見えているので、ミミズ君にはバイバイしてそちらへ向かう。さてスカシテンジクダイはいるかなぁ。

 この根にいる魚はスズメダイ、クマノミ、ベラ、チョウチョウウオ、フグ、ヒメジなどおなじみの魚はもちろんだが、ヨスジフエダイが必ずと言っていいほど小さな群をつくっている。黄色に黒縁がついた白い4本の縦縞が鮮やかだ。ちなみに縦縞というのは頭から尻尾に向かう縞のことだ。魚の縦横は口を上に、つまり釣り上げた形で区別するのだ。根のあちこちを覗き回って魚たちの観察を楽しんだ。

 ところで、 ホンソメワケベラと魚をご存じだろうか、人差し指程度の魚だが僕はこいつによく耳を囓られる。このアリガーの根で珊瑚の裏側を覗いていたりすると、耳をチクッとやられるのだ。この魚はクリーニングフィッシュといって大きな魚の口元の掃除屋なのだ。そうか僕も同じ魚の仲間と認められたんだなぁ、と友人に話したら「汚かったんじゃないの」と一笑されてしまった。うるせぃ耳の掃除くらいしとるわい。あ、失礼、で、問題のスカシテンジクダイはまだまだ少なかった。と言っても直径1メートルの球体を作れるほど、1万匹はいるだろう。これを手で追いかけ回すのがけっこう楽しい。根を回って行くとキンメモドキの群も現れた。

 稚魚がたくさんいると言うことは、それを狙う魚も現れるということだ。この日も稚魚や小型の魚をねらってか、アジが数匹現れた。その他にもユカタハタ、アオノメハタ、ニジハタなど50cmクラスのハタが珊瑚の割れ目を出たり入ったり。小さな根なのだが何とも楽しめるポイントだ。エギジットの場所が離れているので、エアーを考えてそろそろ帰途につく。7月10日前後が見頃かなぁ。


キビナゴ イソマグロ
キビナゴ イソマグロ


 2本目は僕の大好きなポイント黒島北だ。最近ではツインロックと呼ぶ。ここはまず、水深6メートル程度の海底にアンカーを入れ潜行。このあたりは珊瑚があり、お馴染みの魚たちが舞うよく見る風景だが、ここはただの入り口だ。ここから目標の見えない中層を泳いで進んで行くのだ。水底はおよそ30メートル。水中を移動するときもっとも不思議な感覚に襲われるのが、目標の見えない中層を泳いで行くときだ。まず方向感覚がまるでなくなるだ。ここはまだ水底が見えるが、水底すら見えない時は方向を見極めるものがなにもないのだから、右も左もいったいどこから来たのかもわからなくなる。まるで富士の樹海に迷い込んだようなものだ。ただ、多くのダイバーをガイドが引き連れているので不安はないが、もし一人だったら!これは怖いだろうなぁ。でも、ここでは程なく巨大な根が姿を現す。ツインロックだ。

 この岩を一回りして戻ってくるのが黒島北のコースなのだが、目標は岩の裏側。裏側は言ってみれば外海だ、流れもある。季節によってはスルル(キビナゴ)が何万匹と群をつくって舞い踊る。その光景は目を見張るばかりの迫力だ。スルルは10cmほどの小魚なのだが、これをねらって大物が集まる。なかでもニジョウサバが素早く泳ぎ補食する姿はこれまた見応えがある。また、普段は岩陰などでおとなしくしているミノカサゴなども中層で見られるのは、やはり補食が目的なのだろう。

 もちろん青く光るイソマグロもガンガン現れる。スルルと書いたがミジュンかもしれない。どちらも沖縄でよく見られる小魚でスルルはニシンの仲間で、ミジュン(又はミズン)はイワシの稚魚らしい。どちらも唐揚げにして食べると旨い。沖縄料理の店に行けばたいがい食べられる。光り物が好きな人ならキビナゴは刺身がお勧めだ。

 でも、やはり今回はまだちょっと時期が早かったか?イソマグロはでたものの、わずか数匹。それでもその迫力は楽しめた。それよりも今回の目玉は帰り際に現れたナンヨウカイワリだ。全長50cmをこす大物が2匹、ペアリングの最中だ。ダイバーが近寄っても逃げようともせず2匹でクルクルと舞いながらその姿を堪能させてくれた。カスミアジほどの美しさはないが、動くたびにキラキラと光るその姿は実に美しい1メートル以下まで近づいて見ることができたのはかなりラッキーだ。その他にもサザナミヤッコやら、グルクンの群やら、「いまいちだなあ」なんて思いながらも結構充実のダイビングを楽しんだ。

 そして、船尾からエギジット。海から上がるとやっと一休み、今日は3本潜るつもりなので、ウェットスーツは着たままだが、以前、殆ど2本のダイビングが主流だった頃は、1本潜ったあとは必ずウェットを脱いで休憩をしていた。暑かったのは今も変わらないが、なんせ自前のスーツというのは日に日に小さくなるので、きつくてしょうがないんだな。(そんなはずはないとつっこまれるのだが、40も過ぎるとしょうがないのだ。)それで上がった後はさっさとスーツを脱ぐのが習慣だった。そんなきついスーツだったので、上半身を脱ぎ、腰からスーツを脱いだ瞬間、あまりの開放感に「やべっ、海パンまで下ろしちまった!」と内心大慌てをしてしまうのだった。(^_^;)

 水温も高くなる夏場は、ウェットなしでも海に入れるし、スキンダイビングも楽しい。ダイビングとはまるで違う快感が味わえるというものだ。


アリガーのアジ ミノカサゴ
アリガーのアジ ミノカサゴ


 普段は2本で十分満足!の私だが、ポイントを聞いてつい「3本潜ります!」と手をあげてしまった。黒島南は名前の通り黒島の南側にあるのだが、ここは良かった記憶ばかりのポイントだ。地形としてはダラダラとなだらかな斜面が続き、水底は一面に珊瑚やソフトコーラルや腔腸動物が咲き誇る。色彩も様々で、わずかな流れにのって海底を眺めながら進んでいくと、まるで空から咲き誇る花畑を見下ろしているような感覚になる。かなり広い範囲でこの景色が楽しめるのだが、あちらこちらに小さな根があり、そこを順に巡りながらのドリフトダイビングだ。

 今回も、サメや巨大な(1mはありそうな)フグも現れた。しかし、本当の目的はマンタなのだ。僕が初めてマンタを見たのもここだし、ロウニンアジ(1.5mはありそうな)にも出会っているのだ!そんなわけで大期待の黒島南、スタッフのカウントいつものように海に飛び込んだ。多数のダイバーで同時に飛び込むとというのはその音にも迫力があるし、スカイダイビングで大勢の仲間で空へ飛び出すシーンにも似た、仲間意識みたいなものが感じられて実に気分がいい。

 やはりここも時期が早いのか、マンタには会えずに終わってしまったが、十分に楽しいダイビングだった。今回はそこそこの流れもあったので、まさにドリフトではあったが、後ろから前へ流れるのではなく進行方向に向かって右後ろから左前へ流れるカンジなんだな。そうなると左へ流されないように足は左頭は右へ振って、斜めになって流されるわけだ。この姿が何とも滑稽でおかしい。自分も同じなのだが、みんなの姿を見てなんだか笑ってしまった。



 実は今日は天気が悪かった。雨が降ったわけではないが、殆ど太陽は隠れたままだった。空一面にうすーい雲がかかっていたのだ。お陰で実に過ごしやすい一日だった。太陽が出ると5月でも刺すような日射しになるのだが、これがけっこう疲れるのだ。今日のような、明るい曇りは寒くもなく暑くもない、程良い暑さが楽しめる。太陽が出ないと沖縄らしいカンジはしないが、永年住んでいるとこんな天気も悪くないなぁ。

 今回は3本潜ったし、海は凪だし、日焼けもせずにのんびり過ごせた1日でした。今日も海よありがとう、と言いつつ迎える1日の終わり、喉を流れるビールの旨さよ。今日はビールにもありがとう。いやこれが一番ありがたいかな?

文・写真 流離のナイチャーダイバーF


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