11月8日 水中砂丘と3メートルの波

 ついに10月はダイビングができずに終わってしまった。10月はあまり海のコンディションもよくなかったのだが筆者のコンディションもすぐれなかった、第一忙しすぎたのだ。働きすぎは体によくない。少しは遊ばないと・・・本当は31日に予定していたのだが、当日の朝の天気予報で、3メートルの波と聞いてその日は諦めてしまった。波高3メートルだと、出航を諦めることが多いのだ。個人的には大度海岸か奥武島でビーチダイビングでも良いのだが、やはりこのシリーズでは慶良間のポイントを取り上げたいと思っている。

 その日の夕方、ショップを訪ねたらなんと慶良間まで行ったらしい。往復の船はかなり揺れたようだが、海は透明度がすばらしくよくて、いいダイビングになったようだ。「くればよかったのに」とスタッフに笑われてしまった。でも波が高いのはどうもにがてだ、「波高30cm位がいいなぁ」と言ったら、「ありえない」と一笑に付されてしまった。

 気象台の発表する波高は、最低でも殆ど1m、0.5mというのは全くといっていいほど聞いたことがない。波高1mなら海は殆どべた凪の状態だ。発表で3mになるとトロピコでも船を出すか出さないか、微妙な状態になるようだ。実際には港で海を見て、風を確認して、それでも決定できなければ船を港の外まで出して確認するしかない。3mとひとことでは片づけることはできないのだ。3mの高さの波というと、地上で想像するとこれはかなり恐ろしい、目の高さよりさらに1m以上の高さまで水の壁ができるのだ。ただ、実際は水面が最も高くなるときと低くなるときの差が3mなわけで、3m水の壁ができるわけではない。しかし、これが5mの波高となると話は別だ。船にのった状態でも2mの高さの水の壁を見ることができる。あまり見たくはないが・・・

 後ろから大波を受けた場合、巨大な船がサーフィンをするように水の斜面をすべりおりるのだ。おもしろそうだが、これは全然おもしろくない。下手をすれば船は転覆してしまう。波のスピードは船のスピードよりはるかに速いので、後ろからの波が船を横向きにねじればそれでおしまいだ。もし転覆したら、と考えるとかなり怖い。もっとも私が沖縄に来ての12年間で、ダイビングボートが転覆したという話はきいたことがないので、まあ大丈夫なのだろう。ただこんな話は聞いたことがある。那覇に近いチービシにある小さな島「クエフ」、ここにあるボートが完全に乗り上げてしまったというのだ。小さな島ではあるがほぼ中央まで来ていたらしい。おそらく視界が悪くてつっこんだのか?まあこれなら沈没よりずっとましか。



 今回は、何となく曇り空、波も程々だが、だんだん北風が強くなってきそうな感じ。船は北からの飛沫をあびながら、一路慶良間へ疾走だ。平日なので、さすがにダイバーもすくない。のんびりダイビングが楽しめそうだ。


ニセアカホシカクレエビ ウミヘビ
ニセアカホシカクレエビ ウミヘビ


 久しぶりに永見氏のガイドで潜ることになった。ポイントは「ドラゴンレディー」と「トウマ2」、どちらも砂地のポイントだ。「ドラゴンレディー」は沖縄のダイビングポイントの名前にしては、なんだか変なカンジだ。実はこのあたりに飛行機が沈んでいて、その飛行機の名前が「ドラゴンレディー」という名前だったのだ。戦争の名残か?と思いそうだが、そうではない。1989年に大ヒットとなった「彼女が水着にきがえたら」(原田知世主演)で、映画に使用された飛行機、撮影用に沈めたものだ。
 映画では、湘南の沖に沈んだ朝鮮戦争時代の輸送機という設定だったらしい。湘南の海でボートから飛び込むと、そこは慶良間の座間味島近海だったというわけだな。(すごい)
 映画はともかく水中に飛行機が沈んでいると聞くとちょっと楽しみ!なのだが、残念ながら今はわずかに残骸が残るのみ、翼のわずか一部が砂地に横たわっているだけだ。

 写真のニセアカホシカクレエビは、カクレクマノミと同じイソギンチャクに棲む小さな小さなエビだ。見ての通り、殆ど透明に近いような姿、何とも可憐なエビで、よく見ると何匹もいる。限界まで寄っているがそれでもこの大きさにしか撮影できない。これならデジカメのほうがよく写るかもなぁ。次に来る特はマクロレンズを持ってこよう。
 今回一緒に潜った4人の女性ダイバーは、全員がデジカメを持っている。すごいなぁ。ダイビングは殆ど撮影会の様相だ。砂地のポイントだけに、大勢のダイバーが小さなモデルを取り囲むと、どうしても砂が舞い上がるのは仕方がない。僕はみんなの撮影が終わり、更に砂が水底に落ちていくのを待ってからの撮影だ。

 もう一つはウミヘビの写真だ。ウミヘビは爬虫類なので水中で呼吸はできない。そこで定期的に水面に上がり空気を補充するのだろう、その瞬間の写真である。


ミナミホタテウミヘビ ウミテング
ミナミホタテウミヘビ ウミテング


 通常、海に入る前にはガイドがブリーフィングを行うのだが、その時そのポイントではどんな魚が見られるかを説明してくれるものだ。必ず見ることのできるチョウチョウウオや、ベラなんかはともかく、いわゆる珍しい魚はガイドが言った通り、必ず見ることができるというものではない。相手は生き物なのだし、3日前の魚が同じ場所にいるかどうかはわからない。ましてやそれが体長5cmの魚となれば、見られるかどうかは殆ど運次第なのだ。今回ガイドの永見氏は「ミナミホタテウミヘビ」と「ウミテング」が見られると話してくれた。はたして・・・と思っていたのだが、どちらもばっちり見ることができた。いやーガイドというのはすごいものだ。

 まずは、「ミナミホタテウミヘビ」名前はウミヘビだがれっきとした魚、でもやっぱりウミヘビには違いないのだからややこしい。いわゆるウミヘビは爬虫類、一方こいつは、ウナギ目ウミヘビ科の一種だ。写真を見て思い出した方も多いかと思うが、何年か前のダイビング雑誌に大々的に取り上げられていた魚だ。なんと言っても砂地から、顔だけ出したその姿は異様で、「きゃーかわいい!」というカンジではないが、見る価値はあるぞといった姿だ。おとなしい性格で、そっと触っても砂の中に引っ込んでしまったりすることはないので、写真も撮りやすいし、じっくり観察ができる。

 「ウミテング」は伊豆あたりでは普通に見られるようだが、沖縄ではちょっと珍しいほうかな。第一、辺り一面砂ばかりで何もないところで、よく見つけられるものだ。それに見つけたのはペアの2匹だけであたりにはなーんにもいない。一体こんな所でなにをしているんだろうか?
 インターネットで調べてみると、どうやらここの「ミナミホタテウミヘビ」と「ウミテング」は有名らしくて、ここで見ているという記述が何件か見つかった。その中に2000年10月と言うのがあるのだが、もしかしたら同じ個体か?その記述の中には「ドラゴンレディー」の翼の残骸に大きなミノカサゴがいたとあったが、今回も大きなミノカサゴが一匹、隙間からでてきたのだ。あれもおそらく同じ個体?2年前と同じ魚が、同じ場所にいても不思議はないのだが、「あのミノカサゴまだいたよ」なんて聞いたら、ちょっと嬉しいかもしれない。

 ガイド永見は砂地にぽつんと現れたナマコの前で、なにやら書いている。ダイバー達は何だろうと見ていたが、そのスレートには「ナマコのウンコ、砂をきれいにする」と書いてあった。確かにそうなのだ。ナマコは見た目は悪いが、人知れず海の浄化に貢献しているのだ。個人的にはパスなのだが、海にとって大切な生物の一つなのだ。

 下の写真「ニジハタ」は20cmほどの個体だが、エギジット前にボートの下で撮影した。こいつはなんだか人なつこくて、まるで「撮って撮って」といってるかのようにカメラの前でポーズをとってくれた。顔はかわいげがないが、5分ほどもの間カメラの前で舞い踊って見せてくれたのだ。さぁ果たして魚に心があるものか?晩飯のサンマをつまみながらふと考え込んでしまった。


ガイド:永見とナマコ ニジハタ
ガイド:永見とナマコ ニジハタ


 ダイビングは終了、時計は3時半をまわったところだ。心配していた北風は予想通り強くなっている。井出船長は船を慶良間の南側に回した。どうやらかなり波が上がっているようだ。「北にまわったら波につっこんじゃうからね」スタッフは涼しげに話すが、慶良間諸島の内海を出ると波はいきなり大きくなった。左舷には飛沫がたたきつけている。「まいったな」波高3mは間違えない。北からの風を受けながら、東に進むので波を斜めに乗り越えながら進むことになる。と言うことは船は横に揺すぶられながら進むわけだ。これは気持ち悪い。船酔いもしょうがないだろう。時に船は激しく傾き、ドスンと音をたてて波間にたたきつける、結構大変な思いをして那覇まで帰ってきた。いやー、みなさんお疲れ様でした。船長も疲れたことだろう。でも、また行きたいケラマダイビングツアーだった。


 前回までで、いったん中止にしようかなぁと考えていたのですが、是非続けて欲しいという意見も頂きました。今回の掲載が遅くなったのは初めに書いたように、たまたまそのチャンスがなかったためなのですが、今回からは少し様相をかえて、このエッセイのコーナーを続けていこうと考えています。メールを送って下さった皆さん、読んでくれた皆さんどうもありがとうございました。

文・写真 流離のナイチャーダイバーF


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